僕は、2021年10月3日(日)に第36期オートレース選手候補生選抜試験(以下「オートレース試験」)を受験しました。その時のことについて、試験への望み方や実際に起こした行動などを分析し、今後に役立てるように記録として残すものとなります。
はじめに断っておきますが、オートレース試験の具体的な内容については、公表が禁止されていますので、この記事内には具体的な試験内容については掲載していませんのでご了承ください。
実際に50歳のオッチャンが、何を考え、どんな風にオートレース試験に望んだのかを書き記したものです。
この記事は、
・オートレース選手に興味のある人
・年齢を理由に挑戦を躊躇している人
に向けて書かれています。
オートレース選手の魅力
オートレース選手の魅力はなんと言っても、自分の操縦技術や整備力をフルに使って、賞金を稼いでいくことです。まさに実力主義で、勝敗が決まり、それがそのまま稼ぐことができる賞金へとなっているので、とてもやりがいがあり、面白い職業だと思います。
当然、実力がないと稼ぐのは大変ですが、もう一つの魅力として、「選手生命が長い」というのがあります。
オートレースは、体力面より技術力の方が競争成績に影響します。一般的なアスリートは、高年齢化による体力低下が成績に直接関係してきますが、オートレースはその影響は、比較的に小さく、公営競技最年長の76歳(おじいちゃんですよね!)の選手もいるほどです。

浜松オートに所属の鈴木章夫選手は、76歳(2022年1月現在)でも現役バリバリです。
10代20代の選手とレースに出ます。50歳以上の年齢差でも関係ありません。
鈴木章夫選手が1着を取るたびに、公営競技の最高年齢が更新されます(凄すぎます!!)
もちろん、成績が不良ですと辞めさせられます(新陳代謝制度あり)が、引退していく選手もいるので、かなり成績の悪い選手でない限り、現役を続けていく意思がある選手は、長く選手でいられると言えます。
勝負の世界であり、高速のバイクでレースをするという危険とも隣り合わせであり、楽ではなく厳しい面も多いとは思いますが、「一つの競技を極めて賞金を稼ぐ」のって憧れますよね。
自己紹介(2021年10月の受験時の状況)
年齢50歳、身長177cm、体重59kg、裸眼視力0.1以下(矯正視力1.0以上)、家族持ちの普通のサラリーマンです。

僕自身、身長はあったのですが、もともと細身で体重が軽かったことが、オートレース試験の条件に当てはまりました。
バイクは大型自動二輪の免許を持っていて過去にはビッグバイクを乗っていましたが、現在は、バイクは保有しておらず、乗ってもいない状況です。
オートレースは20歳から30年のファンです。グレードレースは必ずチェックしていて、普通開催も決勝は必ず見ます。
レース場に行く時は車券を買いますが、普段はネットでレース映像をみるだけです。
好きなオートレース選手は、森且行、佐藤摩弥、永井大介、若井友和、青山周平、鈴木圭一郎、荒尾聡、佐藤貴也、穴見和正、篠崎実、中山光など、普通に人気選手が好きです。
性格的には「やや意識高い系」といった感じです(笑)。
それっぽいYou Tubeを見て、本を読んで実践するのが好きです。
日頃から健康に気遣い、運動を継続的に実施するとともに、食事も健康に良いものを食べるようにしていますので、健康面や運動面については問題ありません。
簡単にいうと、ちょっと元気な意識高い系のオートレース好きの50歳のオッチャンということです。

オートレース試験を受験するきっかけ
僕がオートレースを見始めた頃(平成4年頃)は、オートレース試験の受験条件が厳しく年齢制限があり身長制限が175cm以下、視力も裸眼で0.7以上というような状況だったと思います。
当時の僕は、身長177cmで裸眼視力も0.1以下のため、受験の条件に合致せず、受験ができませんでした。
ちなみに元SMAPの森且行選手が受験したのもその頃だったと思います。
そのため、オートレース選手になることはできないということが既に決まっている前提で、就職をしてサラリーマンになりました。その後、徐々に受験資格の条件が緩和されていきましたが、自分が受験資格を得ることはなく、オートレース試験を受けることは、全く考えていませんでした。
50歳となり、いつものようにオートレースのリプレイを見ていたら、第36期のオートレース試験の募集が始まっていました。
たまたま、その募集を見た妻が「試験受けるの?」と聞いてきました。
僕は、「えっ!!」と思って、募集の案内を確認しました。
◯第36期オートレース選手候補者の募集条件
- 2021年7月1日現在、満16歳以上の方
- 中学校卒業以上の学力を有する方
- 運転免許証を有する方(原付免許も可)
- 体重60kg以下の方
- 両眼とも裸眼視力0.6以上又は矯正視力1.0以上で色覚が正常である方
- 公営競技関係法規の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられた者でない方
- 禁固以上の刑に処せられた者でない方
- 小型自動車競争選手であって、登録を消除された者でない方
オートレース試験は、徐々に緩和されていってましたが、矯正視力1.0以上で受験できるようになったため、50歳にして、まさかの受験ができるようになっていました。

「50歳のオッチャンのオレでも受験できるじゃん!?」と驚きました。
当初は、受験するつもりはなかったものの、情報収集をしているうちに、オートレース選手になって活躍することを妄想(笑)するようになって来ていました。
そして、「あの時に受けておけば、万が一に合格してオートレース選手になっていたかも!?」と謎の思いが頭に浮かび、受験しなければのちのち後悔すると思って、受験を決意しました。
試験の申請は全てスマートフォンで完結することができます。受験料の振り込みについても、ネットバンキングをしていれば、本当にスマホ一つで出来てしまうので、申込みはしやすいですね。
受験資格の緩和(矯正視力1.0以上)とスマートフォンのみの申請の簡易化により、受験へのハードルが低くなったことから、オートレース試験の受験者は多くなったと予想されます。

オートレース試験の受験を決意をしてからの行動
受験を決意してからの僕は、オートレース試験の1次試験の情報を集め始めました。
インターネット上で集められる断片的な情報では、明確にどんな試験が実施されるかの情報を集めることはできませんが、ヒントとなるような情報をもとに、自分なりの試験対策を立ててみました。
募集要項には「性格・心理」としか記載がないため、就活サイトの性格診断や心理テストなどを活用して、自己分析をしたりしました。
また、経済産業省が作成したオートレース中期基本指針(2021年度~2025年度)やJRAの経営理念などを参考にしながら、オートレースの発展に自分がどのように選手として関わっていけるのかをイメージしていきました。
オートレースに関する情報をいろんなサイトや動画から情報収集し、自分が目指したいオートレース選手像を描いていて、特に自分の年齢、体型に近い選手のレースの状況をチェックして研究して、妄想を膨らませているのが楽しかったです。
オートレース界の現役レジェンド
「絶対王者 高橋 貢」の著書
「本気の基本」
オートレースのみならず、自分自身の行動を見直すにも参考になる良書です。
オートレース試験を受ける人のバイブルとしてどうぞ!
オートレース試験の当日
僕は、東京会場での試験となったため、指定された渋谷のビルで受験しました。試験会場は、その年の受験者の人数などで都度、決めていると思われます。
試験会場に到着すると会場準備中で、会場の部屋にまだ入れない状況となっていて、受験する人がホールや廊下で待機するような状況となっていましたが、その際に受験者を見てみると、ほとんどの人が20代だったと思います。女性もちらほらといました。
ぱっと見た感じ、50代くらいの人は僕くらいで、正直ちょっと恥ずかしくなりましたが、逆にそれが強みだと自分に言い聞かせて、開き直って試験に臨みました。

「50代は自分しかいない、という希少性を武器に試験に臨む」
くらいのメンタルでいないと、めげます(笑)
会場に入ってから本人確認と試験に関する説明が実施されます。この際に、試験内容に関することをネット上に公開及び投稿等をすることがないように注意されます。
試験は筆記によるものだけで、服装は普段着で問題ありません。
性格・心理に関する試験が何種類かあり、半日程度で終了します。
試験には集中力を必要とするものがありますので、体調管理には十分に気をつけて、良いコンディションで試験に望むことをオススメします。
コロナ渦ということもあり、受験者どおしの会話もほとんどなく、淡々と試験をこなしていく感じでした。
試験結果は11月上旬にメールにて通知し、2次試験は11月下旬から12月上旬に実施することが告げられて、試験は終了しました。

1次試験終了後から1次試験の結果通知までの間
1次試験の手応えは正直のところ、自分自身ではどのように評価されていたり、他の人との比較もできないので、わからない状況でした。
50歳のオッサンは年齢的なハンデが大きいと考えて、自分自身でできることはないかと思っていたところ、自分の武器である研究力を活かしたいと思いました。
そこで、「オートレース研究塾(仮称)」というレポートを作成しました。
オートレース研究塾(仮称)は、オートレースで勝つための戦略(レースへのアプローチ)、戦術(レースごとの作戦)について、テーマを定めて研究し、オートレース選手としてレベルを向上させることにより、オートレースの魅力化に貢献するために活動するものを自分なりに考えたものです。
オートレース研究塾(仮称)のレポートをオートレース養成所へメールで送付して、自分自身がどういうことを考えているかを分かってもらおうと思いました。

試験の合否への影響はおそらくありません。
・自分自身がどんなことを考えているかを知ってもらいたい。
・オートレース選手としてやっていく決意
を伝えたいための作成であったと今では思います。
2次試験の対策も始めました。
なお、2次試験は僕自身は受験したことがないということをご了承ください。
2次試験は、身体精密検査、体力検査、技能検査、人格素行検査、適性検査、面接となっています。
身体精密検査は、受験資格(視力、色彩、体重)に合致しているかは当然で、それ以外に関しては、日頃の生活習慣が重要だと考えます。私自身、規則正しく、食事、運動、睡眠に気を遣っていますが、更に体に良い状態を維持するために、生活習慣を見直して体調を整えました。
体力検査は、ある一定以上の体力があれば良いのではということですが、細部は不明です。日頃から運動をしていたので、体力面は問題ないと思っていましたので、個別に鍛える必要なありそうな部分を情報収集しました。
競艇選手の試験の動画がYouTubeに公式なものがあったので、参考に見たところ、柔軟性や反射神経の試験をしていたのを確認しました。
どんなスポーツでも柔軟性や反射神経は必要な能力であるため、試験の項目にあると予測をたてて、柔軟性や反射神経を鍛えたりしました。
技能検査に関しては、情報がほとんどない状況でしたが、バイクに乗ったことがない人も受験するということなので、いきなりオートバイで走行するということはないと思います。
僕自身は、大型自動二輪の免許を持っていて、過去にビッグバイクを乗っていたことから、バイクに関する知識は持っています。
オートレースの競争車に関する知識を身につけておいたほうが良いだろうと考えて、ネットで競争車に関する情報を調べて知識を身につけたり、バイクの整備に関する知識を確認したりしました。
競争車の知識は下記のサイトなどを参考しました。
⇓⇓⇓
教習所でオートバイの免許を取りに行くときに、エンジンをかけずに手動でバイクの取り回す要領をやったことがあります。知り合いにバイクに乗っている人がいれば、取り回しの練習をさせてもらってコツをつかんでおくと良いかもしれません。
人格素行検査は、詳しいことは分かりませんが、試験場に到着してから帰るまでの間の行動を見て判断しているのでは?と思われます。
オートレース選手としてやっていくだけの気構え、一緒にレースをするための信頼できる人間か、学ぶ姿勢があり物事を素直に吸収する素養があるのか、などが考えられます。
適性検査は、正直全く分かりませんでしたので、特に対策をしていません。
面接は、オートレース選手になることへの熱意と自分自身がオートレースの発展に対して何を貢献できるのかを考えて、マインドマップを作成していました。

オートレース試験の不合格通知を受け取ったとき
「実は合格するのでは?」(どんだけポジティブな妄想(笑))と密かに期待をしていましたが、不合格でした。
不合格のショックはあまりありませんでした。その理由は、試験の申し込みをしてから、不合格の通知をもらうまでの間、オートレース選手になるために色々と取り組みを行ったからだと思います。
とりあえず試験を受けて、不合格という状況であったら、「もっと頑張れたのでは?」という後悔のようなものがあったかもしれません。
自分自身は、「もしかしたら、オートレース選手になっちゃうかも!」なんて妄想をしながら、選手になるためにできることを自分で見出しては、勉強したりトレーニングをしていたので、とても充実した時間を作れたなと思っています。
むしろ心は晴れ晴れとしていて、スッキリした状況でした。

短い期間でも
「自分がやれることをやると後悔がない」
という気持ちになれることを実感しました。
オートレース試験を受験して得た教訓
好きなことにチャレンジすることは、メチャメチャ楽しい。
30年超のオートレースの大ファンであったため、50歳になって自分がオートレース選手を目指すということが、想像以上に面白かった。
受験料は10000円とけっして安くはありませんが、体験の度合いで言えば、余裕で10000円以上の価値があると言えます。
自分の人生でそこまで好きなことへの挑戦をする機会ってなかなかないと思います。プロのアスリートを目指す人とかも、こんな気持ちなのだろうか?と考えることもできました。
もっともっと好きなことに傾注して過ごしていきたい。もっと貪欲に望んで行動した方が面白い人生があることに気がつくことができた。新たな挑戦をしたい心持ちができました。

結論:悩んだら挑戦した方が数倍面白い経験ができる!

オートレース試験の対策について
オートレース試験は、もともとの才能があれば1発目から合格する人もいると思います。
それでは、
才能がなかったら合格しないか?
というと、そんなことはありません。
対策をすれば合格する確率をかなりあげることができると思います。
36期から1年1回の頻度で受験できることから、1年単位で準備すれば十分に対策できると思います。
戦略としては、1回目の受験は、可能な限り情報(ネット、受験したことのある知り合いが居れば聞く等)を集めて、受験します。
1次試験で不合格だった場合は、1回受験して要領が分かっているので、1年間かけて対策をします。そうすれば、合格する可能性はかなり高いと思います。そこで、不合格となった場合は、オートレース選手に向いていないということです。諦めましょう。
2次試験も基本的には同様の流れです。
真剣に試験対策をして最大で3回試験(1次試験と2次試験でそれぞれ1回不合格の場合)を受験すれば、合格率はかなり上がると思います。それで、不合格なら、オートレース選手に向いていないことが分かるので、違う道を目指すことができます。
試験内容が変わることもありますので、運もあるでしょうが、それくらいの対応力も当然必要です。
また、受験の倍率が気になる方も多いと思いますが、まずは自分が合格するレベルにいないと、倍率に関係なく合格はできないでしょう。
受験の倍率を気にするくらいなら自分のレベルアップをしましょう。
ちなみに受験の前提として、受験するための条件(運転免許証の所得、体重60kg以下及び裸眼視力0.6以上(又は矯正視力1.0以上))のクリアについては、自分で別に対策を立てて実施してください。
なお、特例(バイクレースで一定以上の成績を収めた人)ではなく、特筆すべきスポーツ経験や話題性(有名人)があるわけでもない普通の高年齢(35歳以上)の人が合格する確率は、かなり低いと思われます。
オートレース選手試験を受ける人はかなりの多人数ですから、レベルが同じくらいなら当然若い人が合格します。
高齢者(35歳以上)が合格するためには、オートレース選手としてプラス(例えば、バイクの整備力がものすごくある、体重がすごく軽い等)若しくはオートレース発展に貢献できるといったような、他の人との差別化ができる武器がないと厳しいでしょう。

自分の過去の実績や特性などをよくよく考えれば、何かしら武器になるものはあります。
それをいかにオートレースに結びつけるかですね。
オートレース選手試験を受験をする人のちょっとした参考になれば幸いです。
まとめ
オートレース試験は、公営競技の選手という特殊な職業に対しての挑戦は、とても面白いものでした。
- オートレース選手になれたら、SGタイトルを取れる選手になりたい
- 特徴のある選手になって、ファンに応援されたい
とか、妄想(笑)をするのも非常に楽しいものです。
こういった体験を身を持って知ることができるのは、実際に試験に申し込んで行動するからにほかなりません。
挑戦とは、本当にドキドキで楽しく、人生を有意義にさせる、とっても面白いものであることを実際に体験することができました。
これからも、機会を捉えて年齢に関係なく、興味を持ったことに挑戦して人生を面白く歩んでいきます。
- 今日が一番人生で若い日
- いつやるか?今でしょ
- 人は何にでもなれる!いつからでも
- 今をこの習慣を生きる
- 今日がその日
上記のような心持ちでいれば、人生をゲームのように楽しめると思います。
もし、37期のオートレース選手を受験したら、またレポートします。
50歳のオッサンだって試験受けているのです。
一緒に頑張りましょう!!


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